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虫の知らせ、予知夢は存在するか?

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一人の人について考えてみると、その人が今までに何度胸騒ぎを感じたことだろうか。しかし我々は、胸騒ぎの後に何も起こらなかった場合に、そのことを記憶していることはほとんどない。

この事は既に心理学者によって指摘されている。

(1)直感で陥りやすい誤り

よくある問題であるが、以下の問題に答えてほしい。

ある高校のクラスには40人の生徒がいます。その中で、誰かと誰かの誕生日が一致する可能性は何パーセントでしょう?

この問いに対し多くの人が10% 程度と答えた。しかしながら、この答えは 90% となる。

確かに、自分とA の誕生日が一致する確率は 1/365、同様に自分とB の誕生日が一致する確率も 1/365となる。したがって、自分と39 人の生徒の誕生日が一致する確率は 39/365であり、これは10% 程度である。

ここで気をつける必要があるのは、A とB の誕生日が一致する確率も 1/365 だということである。

つまり、自分と誰かの組み合わせは39 通りに過ぎなくても、任意の2 人の組み合わせは膨大な数となるのである。実際に、 40 人から任意の2 人の組み合わせは、以下の式で求めることができる。

また、40 人のグループの中に2人以上誕生日が一致する確率 P は、全員の誕生日が一致しない確率を求めて、1 から引くことで求まる。

この問題例が示していることは、人間は着目した事例の少なさに注意を向けても、その背景を見逃すことが多い。

そして、このバイアスが不思議現象が実在するという信念につながるのである。

※ バイアスとは歪みとか偏りという意味で、人の認知情報処理の過程で広範囲に起こる認知の歪みや偏り、誤りを生み出す。

(2)それは本当に超常現象なのだろうか?

1974 年3 月7 日、日本テレビ「木曜スペシャル-驚異の超能力!世紀の念力男ユリ・ゲラーが奇跡を起こす!」が放送された。

この番組中で、ユリ・ゲラーが「TV 視聴者の手元にある時計を動かす」という超常現象を行った。生放送中だったので、実際に動いたという電話が殺到。番組中電話が鳴りっぱなしだったという。

当時のテレビ契約世帯数が約2500万世帯、視聴率が約30% だったので、約750万世帯がテレビを見ていたことになる。また、時計を1 個用意していた世帯が5 世帯に1 世帯あったとすると、 375 万個の時計がテレビの前に並んでいることになる(実際はもっと多い)。

約100件程度の電話があったらしいので、全体の5% の世帯が放送局に電話をかけたとすると、約2000世帯 で時計が動いた計算になる。これは約 0.05%、約2000 個中1 個の時計が動いた計算になる。

当時機械式の時計がほとんどだったために寒いときであれば油の粘性や汚れ等によって止まってしまい、時計を握り暖めているうちに動くことも少なくなかった。

このため、これらは確率的に当たり前の結果であったと考えられる。

(3)幸福グッズで金持ちになれるか?

水晶で作ったお守りが、幸福や健康を呼ぶと信じている人もいるし、特別な形のアクセサリーや絵などが幸運を呼ぶ商品としてよく販売されている。

これらの商品に特別なパワーがあることを証明するために、広告では「体験談」が掲載されている。

「このアクセサリーを身につけてすぐ、主人の昇進が決まりました」
「今まで運も無かった私ですが、このお守りのおかげで恋人が見つかりました」

実際に特別なパワーがあるかはともかく、これらの成功体験談だけでは証明にはなってはいない。これらを購入することで「精神的に安心」するという暗示効果はもちろんあるだろうが、これは別の話である。

商品が多く売れれば、その中には直後に幸せにめぐり合った人がいたとしても、別におかしくはない。

「幸福グッズ」を購入すると「金持ち」になれるという因果関係を主張する場合、

購入して「金持ち」になった人と、ならなかった人の分割表

が無ければ、あまり意味はない。残念ながらこうした情報が掲載されることは、まずない。

 幸福グッズを購入した幸福グッズを購入していない
金持ちになった
金持ちになれなかった

加えて「金持ちにならない場合は、返品可能」な場合、たとえ比率が掲載されていても、あまり意味をもたない(もしくは分割表は複雑になる)。

(4)予知夢は存在するか?

人は夢を見る(最近では動物も夢を見ることが証明されつつある)。このため夢判断、予知夢などオカルト関連では盛んに利用される一つである。(「夢を見ない」人は、単に「夢を覚えていない」だけである。)

人は起きている間、見たことなど多くの情報を脳の中に記憶し、寝ている間にその記憶を整理する。この記憶の整理中に再生された映像は、夢に出てきやすい。

この記憶の中には、未来予測も含まれている。たとえば、日常で無意識のうちに未来を予測したことが記憶に残っていて、記憶の整理の過程で夢として見てしまうことがある。したがって、予知夢とは人の記憶から作り出したものにすぎない。

※ 夢を見るのは、起きているときと同じような脳波を示すレム睡眠の時である。その間に断続的に何回も夢を見ている。レム睡眠の時、記憶の脳である海馬と視覚情報を司る視覚野が活発に働いていることがわかっている。

このため、予知夢を見る可能性も確率で求めることが可能である。

ただし「明日テストで失敗する」程度のありふれた予知夢ではなく、「知っている人の夢を見た」日に偶然その人が亡くなるような予知夢の可能性を考える。

  • 1. 夢に出てくる可能性のある人は約 100人
  • 2. その人を今後50 年に1 度だけ夢に見る
  • 3. 50 年後には半数の人は亡くなっている

これら仮定のもとで、菊池聡氏(信州大学)は以下のように確率を求めた。

  • 1. 今夜、知り合いの中の特定の1 人の夢を見る確率は、仮定2 より
    • 1/(365x50)=1/18250
  • 2. 今夜、その人が亡くなる確率は仮定3 より
    • 1/(365x50) x 1/2 = 1/36500
  • 3. 今夜、ある人の夢を見てその日にその人が亡くなる確率は、1、2より
    • 1/18250 x 1/36500 = 1/666125000
  • 4. その日に知り合いの誰かが亡くなりその人を夢に見ていた確率は、3と仮定1 を合わせて
    • 1/666125000 x 100 = 1/6661250

日本のどこかで予知夢現象が報告される確率は、このような現象を報告できる人口を8千万人として次式で計算できる。

1/6661250 x 8千万 = 12.01人

さらに、1 年間に日本のどこかで誰かが報告することは、以下の人数ほど起こり得る。

12.01 x 365 = 4384人

「人が死ぬ」という予知夢でさえ、1 年で4000人以上の日本人が体験している。

ただし、「知り合いの身を案じていた」「知り合いの死が近いことを知っていた」場合は一般的な事柄であり、この限りではない。

参考

菊池聡「超常現象をなぜ信じるのか」 講談社、ブルーバックス、1998年発行
その他参考

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