人前であがらない方法
(1)「あがり」のメカニズム
人は緊張すると心拍数、体温、血圧の上昇が見られる。これが「あがり」を引き起こす原因である。
また、血液中にノルアドレナリンが増える。
※ 「ノルアドレナリン」とは覚醒、興奮に関係している神経伝達物質であり、不安や恐怖が「青班核」に伝わり、ノルアドレナリン神経から分泌されるもの。
ノルアドレナリンは交感神経を活発化し、心拍数、血圧を高めると言った変化を起こす。これが心臓の鼓動を上げ、汗をかかせる。また、情報の混乱を引き起こさせ、頭が真っ白になる状況に陥らせる。
「あがらない」人ははセロトニンの作用が活発な為である。
※ 「セロトニン」とは縫線核(ほうせんかく)を中心としたセロトニン神経から1秒に2,3回の周期で分泌されるもの。
※ 人間が異性に恋愛感情を抱いたときにも「セロトニン」が作られる。「セロトニン」は若々しさを保つ要素ももっている。
1996.11月にヴェルツバーグ大学精神医学部のピーターレッツ(PETER LESCH M.D)博士がS遺伝子が個人のセントニンの分泌に影響を及ぼしていると発表した。
分泌したセロトニンの回収を行う セロトニン・トランスポーターの数をこの遺伝子が決定していると言う事になる。
- S遺伝子…セロトニン・トランスポーターを半分しか作らない。
- L遺伝子…セロトニン・トランスポーターを多く作る。
が存在し、「SS遺伝子(あがり易い)」「LS遺伝子(比較的)」「LL遺伝子(あがり難い)」を形成。
日本人は比較的S遺伝子が多く、SS遺伝子が米が18.8%の人に対し、日本は65.1%の人も存在した。
※ 米「LS遺伝子48.9%、LL遺伝子32.3%」日本「LS遺伝子31.7%、LL遺伝子3.2%」
(2)「あがり」克服法
- 「慣れる」
- 不安を感じ無くなる。「場数」を増やすと言う意味。但し緊張する人は場数を増やさそうとしないので、実行は難しい。
- 「訓練」
- 日頃の心がけで、セロトニンをコントロールし「あがり」を克服出来る。
(1)「呼吸法(長期)」
腹式呼吸で5秒かけて息を吸い込む。次に10秒かけてゆっくり息を吐く。
⇒呼吸中枢の活性により、縫線核を中心としたセロトニン神経を刺激
(2)「反復運動(毎日)」
長時間に渡って歩く(30分)。咀嚼(そしゃく)回数を多く繰り返す。
⇒咀嚼中枢等が縫線核を中心としたセロトニン神経を刺激
(3)「食事(当日)」
セロトニンの原料のたんぱく質 トリプトファンを多く取る食事を行う。これは豚肉、鶏肉、卵、牛乳に多く含まれる。
ただし、体内に取りこまれるのに2時間かかるので本番2時間前には食事をしておくこと。
(4)「温熱効果(本番30分前)」
本番直前に体を温める。温かい牛乳を飲む。温かいタオルで拭くなど。
⇒副交感神経が活発化し、交感神経の働きを抑制する
(5)「筋弛緩法(本番直前)」
手足をブラブラさせて筋肉の緊張をほぐし、体全体をリラックスさせる。
発声が必要な場合は、あごの力を抜いて、左右を上下に動かすことで、あごの筋肉の緊張をほぐす事が出来る。
「あがり」はもはや訓練する事で、克服することが不可能では無い。
参考
日本テレビ「特命リサーチ200X」 2000.12.17 放送「あがり症は克服出来るか」
その他参考
リンク
- あがり症を克服する話し方教室【相互】
- あがり症、口ベタを克服する一番の近道である「話すことに自信をつける」ためのコツをわかりやすく、短くまとめたサイトです。
関連書籍・ソフト紹介