カードマジック(奇術)の背景から技術、心得まで

タイトル:カードマジック(奇術)の背景から技術、心得まで

ここではカードマジック(奇術)について論じて行きます。カードマジック(奇術)の背景から技術、心得まで深く書いていくつもりです。カードマジック(奇術)の独特な世界観を味わってみてください。

カードマジック(奇術)の歴史

カードの起源はいろいろな説があって、確実ではなく、東洋で作られ中世ヨーロッパへ伝えられた説や、占いタロットから生まれた説もあります。
いずれにせよ、カードは元来占いやゲームに用いられマジック(奇術)に使われだすのは15世紀以降のことです。

1584年にレジナルド・スコットというイギリス人が、「妖術の解明」という本に当時のカードマジック(奇術)について論じています。それによると当時のカードマジック(奇術)といえば、

  • 1.4枚のAを絵札に変える。
  • 2.相手の見たカードを切り混ぜたあと当てる。
  • 3.相手の見たカードを見ないで当てる。
  • 4.相手が心に思ったカードを当てる。
  • 5.相手の選んだカードを他人のポケット(クルミの中)から出す。

という、5つのマジック(奇術)が主流であり、これがカードマジック(奇術)の原型であり、現在の基礎となっています。

※ 1581年に英語で初めて書かれたマジック本の1つとして、「A Brief and Pleasant Treatise」という文書が確認されています。

この後、ヒエロニムス・スコットと言うイタリア人が 16C末~17C始めにかけて、ヨーロッパ各国の宮廷を訪れてカードマジック(奇術)の妙技を演じた記録が残っています。

1602年にイギリスのエリザベス女王の前では次のように記されています。

「イタリア人のマジシャンが我が宮廷を訪れ、カードを使って不思議なマジック(奇術)を演じた。彼は思ったカードを当てたり、手の下にしっかり押さえているカードをいつのまにか変えてしまった。女王はこのマジック(奇術)をご覧になって200クラウン下賜された。」

19Cになって、ホフジンサーというマジック(奇術)家が、カードのマジック(奇術)をまとめ基礎を確立しました。このころ盛んに行われたカードマジック(奇術)は、

  • 1.相手のカードが容器の中から上がるマジック(奇術)。
  • 2.手に持ったカードが1枚ずつ袖を通り、ポケットに入るマジック(奇術)。
  • 3.4枚のAを使ったマジック(奇術)。
  • 4.何処にもあって何処にもないカード。

のようなものでした。

20C、1902年にアードネードがカードの技法を集めた名著「カードテーブルにおけるエクスパート」を著し、ヒューガードが数多くの解説書を出し、ライプチッヒ、マリニー、バーノン、ルポールマルローなど現れ、カードマジック(奇術)は飛躍な発展をしました。

トランプに関して

トランプと呼ぶのは日本人だけです。欧米では一般的にプレイング・カードと呼ばれています。
トランプと呼び出したのは明治20年前後の鹿鳴館時代頃からだと言われています。このころは他に「西洋カルタ」とも呼ばれていました。トランプというのは本来、カード・ゲームするときの用語で「切り札」のことです。
どうゆう訳か、そのトランプと言う言葉が広まってしまい、日常的になってしまったようです。

トランプ1組と暦

トランプ1組と暦には深い関係があります。
トランプにはマークがダイヤ、スペード、ハート、クラブの4種類あります。色は赤と黒の2色だけです。これは朝と夜を表しています。
また四種類のマークは1年に春夏秋冬の四季があることを表しています。
さらに13枚で構成されているのは四季それぞれの週が13週ずつあり、1年が52週(13x4)であることを表しています。
もっと不思議なのは   A=1、J=11、Q=12、K=13 としてトランプ1組の52枚を合計すると364になります。
これにジョーカを加えると、なんと1年の日数365日と同じ数になります。さらに閏年のためにエキストラ・ジョーカまであります。

トランプの絵札のモデル

トランプの絵札にはそれぞれモデルが存在します。

キング

  • スペード:ダビデ王(『旧約聖書』の「列王記」に登場するソロモン王の父、古代イスラエル国王)
  • ハート:カール大帝(シャルルマーニュ、中世のフランク国王 もしくは シャルル王)
  • ダイヤ:カエサル(ジュリアスシーザ、古代ローマの皇帝)
  • クラブ:アレキサンダー大王(ギリシア時代のマケドニア国王)

クイーン

  • スペード:パラス(ギリシャ神話のトリトンの娘。もしくは友人であるパラス・アテナ。こちらはギリシア神話の戦いの女神で、ローマ神話ではミネルウァ)
  • ハート:ユディト(英語読みから「ジューディス」とも。『旧約聖書』外典の一つである「ユディト記」に登場するユダヤの女戦士、もしくはカール大帝の子ルートヴィヒ1世の妻)
  • ダイヤ:ラケル(旧約聖書のヤコブの妻)
  • クラブ:アルジーヌ(英語読みから「アージン」とも。名前はラテン語の女王を意味する単語・regina(レーギナ)のアナグラムから(regina→Argine)。モデルはシャルル7世の妻であるアンジュー公女マリー(Marie d'Anjou、アラゴンのマリーとも)、もしくは愛人のアニェ・ソレル(Agnes Sorel)、またはこの二人を混合したものとされている)

ジャック

  • スペード:オジェ・ル・ダノワ(英語読みから「オジーア・ザ・ダン」とも。カール大帝の騎士で、デンマークでは「ホルガー・ダンスク」の名で愛されている)
  • ハート:ラ・イル(英語読みから「ラハイア」とも。ジャンヌ・ダルクの戦友)
  • ダイヤ:ヘクトル(ギリシア神話に登場するトロイの王子)
  • クラブ:ランスロット(「中世騎士物語」に登場するアーサー王に仕えた円卓の騎士の一人)

しかしながら、絵札のデザインの衣装は十六世紀、イギリスのヘンリー8世時代のものと言われる説もあり、モデルもヘンリー8世とか、ヘンリー7世の妃エリザベスとか言われているため完全なものではなく、真相は霧の中です。

しかもヨーロッパではメーカー独自のモデルを用いているため本来のモデルが分からず、むしろそのために昔はトランプの絵札に歴史上の人物、国王を描いて、教育の教材にしていたそうなので、キングもその名残りかもしれません。

トランプのマーク

トランプのマークで「クローバー」と言うのは間違いで、あれは「クラブ」です。

それぞれのマークは意味があります。

マーク 図案化 象徴
クラブ 棍棒 農民
スペード 王族や軍
ハート 僧職
ダイヤ 貨幣 商人

中世のヨーロッパらしいですね。

(都市伝説)「左を向いているカード」と「右を向いているカード」の差は?

ハートは「愛」、ダイヤは「お金」、クラブは「学問」、スペードは「死」を表します。

J(ジャック)、Q(クイーン)、K(キング)の絵札を見てみると、顔の向きがバラバラです。

J(ジャック)は若い男性です。若い男性は「愛」が大好きなので、ハートのジャックは真っ直ぐハートを見ています。

でも「死」は大嫌いなため背中を向けています。

学問のクラブ。遊びたいお年頃のジャックは背を向けています。

スペードのA(エース)

トランプで一枚だけ大きなマークのカードがあると思います。そう、スペードのエースのカードです。

このスペードのエースはトランプゲームではオールマイティーとか、スペキュレーションと呼ばれ、もっとも強いカードとして良く用いられますが、そのために大きく書かれているのではありません。このデザインは、十七世紀にイギリスでカード税を課したときの名残りで、納税証明がこのデザインの表面に印刷されていたのです。

15~16世紀のイギリスでは、カードに税金が課せられていました。販売するためには役所に税金を納めて、その証明書を受け取っていました。

トランプの製造者が役所に税金を納めに行くと、その証拠として役人がカードに印を押していました。

しかし、次第に印が偽造されるようになったことから、役所が自ら複雑にデザインしたスペードのエースを作成し、トランプ製造者が税金を払うと、役所がこのスペードのエースを渡すようになりました。

実際に16世紀に役所が作っていた実際のスペードのエースは、このようなマークです。

その名残で今もスペードのエースには、紋章のような複雑なデザインのマークが大きく描かれています。

トランプに税金?と驚かないで下さい。

日本でも消費税が導入される89年まで「トランプ類税」(1組40円)が課されていました。

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