戸籍謄本、戸籍謄本妙本の違いと明治~平成の戸籍一覧

戸籍とは、日本国民の身分を公に証明するもので、日本国民についての出生・親子関係・養子関係・婚姻・離婚・死亡などを証明するものです。

戸籍制度は古代から存在していましたが、全国で統一された近代的な戸籍制度が作られたのは明治5年になってからです。

戸籍関係の証明書は次のようになっています。

証明書一覧一通手数料内容
戸籍全部事項証明
(戸籍謄本)
450円戸籍に記載されている全部を写したもの
戸籍個人事項証明
(戸籍抄本)
450円戸籍に記載されている一部を写したもの
除籍謄抄本 750円除かれた戸籍に記載されている全部・一部を写したもの
改製原戸籍謄抄本 750円旧戸籍法に記載されている全部・一部を写したもの
受理証明書 350円出生届、婚姻届など戸籍に関する届出書が受理されたことの証明書
戸籍(届書)
記載事項証明書
350円戸籍・届出の書類に記載した事項に関する証明(死亡診断書などの写し)使用目的により交付できる
戸籍の附票 200円住所の「移転履歴」を記録した書類で、本籍地の役所でのみ交付してもらえます。住民票を複数取らなくとも、移転の履歴がわかります。
身分証明書 200円-

「戸籍謄本」と「戸籍妙本」は次のような違いがあります。

戸籍謄本(全部事項証明書)戸籍の原本に記載されている内容の全部の写し、つまり記載事項の全てがコピーされているもの
戸籍妙本(一部事項証明書)戸籍の原本に記載されている事項のうちから、請求者の指定した部分を抜き出してコピーしたもの
undefined 入手方法は私でも知っています!

戸籍の取扱事務は市町村役場が行っています。

ただし戸籍は本籍地の役場が取り扱いますので、取得したい戸籍の本籍地を管轄する市町村場戸籍謄本の交付を申請します。

本籍が分からないときは?

この場合はまず、ご自身の戸籍が必要であるなら本籍地記載の住民票を取得することで本籍地を知ることができます。

※ 以前はICチップの入っていない運転免許証に本籍地が記載されていましたが今はありません。

undefined 市町村合併でどの市町村か分からないときは、どうしたら良いですか?

合併に伴い昔の地名等が分からない、その市町村がどこに吸収合併されてしまったのか分からなくなる場合があります。

この場合は、近隣の市町村役場に問い合わせをすれば、どこの市町村の管轄となったのか判明します。

それでも分からない場合は、都道府県庁に問い合わせすることで、どこが管轄する市町村なのかを知ることができます。

インターネットを活用してwikipediaなどを見ても大抵は書かれているはずです。

「戸籍」と「住民票」の違い

戸籍の謄妙本より身近に利用されているものに「住民票の写し」があります。

住民票住民基本台帳法という法律に基いて各市町村長が作成しているもの。住民の居住関係を記録するもの
戸籍身分変動を記録するためのもの。本籍地に関しては記載されているが住所地の記載はない

取得できる戸籍・取得できない戸籍一覧

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  • 明治19年式戸籍
  • 明治31年式戸籍
  • 大正4年式戸籍
  • 昭和23年式戸籍
  • コンピュータ化された現行戸籍

平成6年式コンピュータ戸籍(平成6年~現在(1994~現在))

戸籍法が改製され、戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律が施行され、戸籍のコンピュータ進みました。

この戸籍から戸籍謄本は全部事項証明書、妙本は個人事項証明書になりました。

昭和23年式戸籍(昭和22年~現在(1984~現在))

昭和22年の民法改正によって「家制度」が廃止され、戸籍の編成も「夫婦単位」となり戸籍の様式も変更することになりました。

  • 戸主から筆頭者という表現に変更
  • 前戸主の記載の削除
  • 配偶者、子供、生年月日、結婚、死亡、養子縁組、離婚、記録への入籍や転籍、続柄、性別、また分籍について記載されるようになりました。

大正4年式戸籍( 大正4年~昭和22年(1915~1947))

明治31年式戸籍によって「身分登記簿」制度を設けたことで、それらの事項を戸籍簿に書き写すという手間のかかる制度だったため、大正4年式戸籍によって「身分登記簿」は廃止されることになりました。

それによって、記載内容が詳細になったのがこの戸籍になります。

記載内容は、「戸主」に関する情報が最初のページ全面を使って記載され、家族一人一人に次のことが記載されました。

  • 両親、生年月日、家族の中で占める位置(長男の嫁、孫)など
  • 継承者、族称(後に任意となる)
  • 現在の戸主との続柄、両親、生年月日

明治31年式戸籍(明治31年~大正3年(1898~1914))

明治31年に制定された民法(旧民法)で、「家制度」が制定され、人の身分関係に関しても詳細な規定を設けられることになりました。

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それらの事項を登録できるようにするために、「家」が戸籍編成の単位になり、内容も変わりました。

この戸籍の大きな特徴は、戸籍簿の他に「身分登記簿」制度を設けたことです。

【記載例】

  • 1)本籍地
  • 2)前戸主
  • 3)前戸主との続柄、戸主となりたる原因及び年月日
  • 4)家族との続柄
  • 5)廃疾、廃族、隠居、後見人、確かな相続人の有無、家族員の失踪等

明治19年式戸籍(明治19年~明治31年(1886~1898))

明治19年式戸籍はいままでの5年式の不備を一新し、初めて全国摘要のフォームに改めた画期的なものでした。

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「屋敷番」制度ではなく「地番」制度が採用され、除籍制度が設けられたのもこの戸籍からです。

【記載例】

  • 1)前戸主という項目の新設
  • 2)職業の記入廃止→身分登記簿で復活)
  • 3)全員の生年月日の記入
  • 4)寺、氏神の記載廃止(実質18年までに順次廃止)
  • 5)ト書き(実は○○二男というようなもの)

なお、附籍やすでに登記されている妾等は明治31年戸籍法が摘要されるまで残りました。

また、失踪者の帰還、家督相続の変更、族称の改称、勘当等も記載されました。

ちなみに、この戸籍への移記については、各村によって対応がバラバラだったそうで、地域によってはそのまま明治5年式をを使用した地域もあり、除籍になった際、19年式に移行したというような場合もあったそうです。

戸籍を取得した際、「つじつま合わせのような戸籍」のように見える除籍謄本や、なかには80年廃棄を行わなかった行政でも、明治19年以降に除籍になったはずの除籍が取得できない地域は、上記のような例によるものです。

明治5年式(壬申)戸籍

日本で最初の全国統一様式の戸籍が、「明治5年式戸籍(戸籍法・明治4年4月4日大政官布告第170号/明治5年2月1日施行)」です。

この戸籍は実施の年の干支が「壬申」だったので、通称「壬申(じんしん)戸籍」といわれています。

この戸籍については職業欄、身分欄において、一部、賎民解放令が施行されたにもかかわらず、庚午戸籍に倣い元○○と記載する地域もあり、また職業によって誤解を生じる結果を招く可能性も指摘されたため、昭和43年3月29日民事甲777号通達によって、現在、この戸籍は封印保管され一般には公開されておりません。

(記載例)
  ○○番屋敷居住(借店)
        平民 魚屋渡世
        先代 父太助亡
        戸主 二心 太郎
         壬申年 五十
旧幕臣      妻    はな
中村主水三女   壬申年 四十八
武蔵国北豊島郡  妾    さき 
金杉村農茂助妹  壬申年 廿一
旧幕臣     附籍 椿 三十郎
大塩平八郎弟   壬申年 六十五
氏神 八幡社
寺  浄土宗 ○○寺

この人別帳制度は明治期の戸籍制度に引き継がれます。イメージ 統一形式がなかった明治5年に編製された壬申戸籍はこれに近い様式になっています。

この壬申戸籍は昭和43年以降閲覧禁止となり、現在は各地方の法務局で厳重に保管されています

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