サラリーマンも事業主になれば節税ができる
会社の給与が絶対的な安全といえない昨今、副業を持つのは賢い方法だと思います。
書籍にも「事業者になってしまえば、給料から天引きされている税金も取り戻せます。」と記載されています。
ですが、それを指南したコンサルタントが逮捕されています。
個人事業主になるには収益が「継続・安定的に発生」する必要があります。そして、そもそも何年も赤字の「事業」は、「事業」として成り立っていません。
副業を「事業」にするには、事業実態を持つことが大切
書籍の中には「誰でも事業を起こして給料から天引きされている税金を取り戻そう」と書いているものを複数見かけます。
ですが、実際にこの方法を指南したコンサルタントが逮捕されています。
以下には「書籍の抜粋」と「実際の事件」を載せておきます。
【書籍抜粋】サラリーマンも事業主になれば節税ができる
自営業者はサラリーマンに比べて様々な節税方法があります。
商売がうまくいって、少し儲かった場合、必要経費を増やして税金を抑えることが可能です。
サラリーマンでも自分で必要経費を増やして、税金を調整をする方法があります。
それは自分で事業を起こせばよいのです。
事業者になってしまえば、給料から天引きされている税金も取り戻せます。
副業はインターネットですぐに始められますが、それを事業として申告すれば良いのです。
副業を事業ということにすれば、家賃、パソコンなどの購入費、通信費、研究費、交際費、光熱費、ガソリン代など、様々な費用が経費となります。
つまり「趣味と実益を兼ねた事業」を行なって、趣味にかかった費用で税金を割引いてもらえます。
例えば、副業で50万円の赤字が出た場合、所得税率10%の人で5万円の税金が還付されます。
また、事業で月数万円の収入があったとしてもほとんど場合、赤字となります。その赤字を給与で得た所得と差し引きできます。
【現実】逮捕された経営コンサルタント
上記の手法をセミナーで教えていたコンサルタントが逮捕されました。
2013年2月 本多弘樹容疑者(34歳)が所得税法違反で逮捕されました。
コンサルの名のもとに、顧客のサラリーマン数十人に脱税指南をしていた容疑です。
彼はサラリーマンに副業で赤字が出たように申告させました。
それによって本業の所得を減らし、納めた所得税を還付させるというものです。
顧客の業種や得意分野に合わせて次のように副業の職種を変えていました。
- スポーツインストラクター
- グラフィックデザイナー
- 塾講師など
そして、自宅マンションの家賃や携帯電話代、自家用車の減価償却費などをすべて経費として計上し、副業を赤字にして、本業の給与所得と損益通算するという手口でした。
そして、次のように説明し顧客を安心させていました。
- 副業で出た赤字を本業の給与所得によって相殺すると、払い過ぎた所得税を還付してもらえます。
- 税金の還付申告者は年に1200万人(日本の労働力人口の5分の1)を超えます。
- 税務署が膨大な申告書類から不正を見抜くのは容易ではありません。
※ 彼の確定申告の「手数料」を誰から得たかを調べるうちに、副業で赤字を出して還付申請している人間ばかりだと分かり事件が発覚しました。
※ 本多弘樹にノウハウを教わり独立して、ノウハウを指南していた高橋竜馬被告(29)も約3600万円の脱税指南容疑で在宅起訴されました。
事業所得と雑所得
サラリーマンの副業を確定申告するに当たり、所得税では10種類の区分を設けていますが、どの区分で申告するかに応じ節税額が異なってきます。
所得区分 | 働く形態 | 収入・所得金額 | 継続・安定的に発生 |
---|---|---|---|
給与所得 | 指揮命令をうける仕事 | 副業でも誰かに指揮監督を受ける場合は給与となります(例:コンビニのアルバイト等) | |
雑所得 | 自己責任 | 副業収入だけでは生活できない | 不安定 |
事業所得 | 自己責任 | 副業収入だけで生活できる | 継続・安定的に発生 |
「事業所得」「雑所得」は上記の表分類に従い検討をする必要があります。
サラリーマンの副業は、原則「雑所得」となります。
なぜなら収入は不安定であり、副業収入だけでは生活できるだけの十分な利益がでていないためです。
開業届を提出して事業所得とする目安は、安定的に月収5万以上稼げる場合でしょう。詳しくは月収5万~10万円なら個人事業主を検討しようを参考にしてください。
開業届を税務署に出しても特に何も言われないが・・・
税務署で「事業所得」か「雑所得」かの審査は特にありません。自己申告制です。
ただし、高額所得サラリーマンが、節税のため小規模副業を事業所得で無理やり申告した場合、後で税務署から5年ほど遡り税金を取られる(修正申告が必要)可能性は大きいです。
そのため、副業を事業にするには、きちんとした事業実態を持つことが大切です。
例えば、製作業務で事業主になるのであれば、次の3点をクリアするべきでしょう。
- (1)就業場所
- (2)一定の生産量
- (3)販路の確保
クリアした上で「サラリーマンを辞めても副業で生活していける規模にするつもりだ」という場合には「開業届」提出し「事業所得」で申請しましょう。
オススメ書籍
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